掲題ついての書き物をご紹介します。

ロシア語の動詞の過去は面白いことに男性と女性で違う語尾をつけます。まるで男言葉と女言葉があるみたいです。
たとえば『курить』だったらこんな感じです。
Он курил.  彼はタバコを吸っていました。
Она курила.  彼女はタバコを吸っていました。

では他の場合はどうでしょう.я → вы → он → онаの順番をたどって、
она → онときて、次はBblです.
Вы курили.  あなたはタバコを吸っていました。
これは『Что вы делали? あなたは何をしていたのですか?』と同じ-лиという語尾です。
-л、-лaと続いて-лиが3種類目です。過去の語尾の共通点はлにあるようです。

ちょっと複雑な話をします。-лиというのは本当は複数のときに使う語尾です。
たとえば「大学生たちはタバコを吸っていました」という文はこうなります。
Студенты курили.
でも「あなた」という意味たったら、выは一人の相手を指しているはずです。
どうしてこうなるのでしょう?
ここでтыとвыの関係を思い出してください。
親しい間柄で使うты『君』に対して, выは『君たち』の他に丁寧な『あなた』も示すのでした。
相手が一人でも複数分の敬意を払っていると考えればいいですね。
だからその語尾も、たとえ相手が一人であろうとも複数と同じ-лиを使います。

さて、残るはЯの時の形です。
どうなるのでしょう?
Я курил.  わたしはタバコを吸っていました。
Я курила.  わたしはタバコを吸っていました。

おやおや、今度は2種類出てきてしまいました.
でも、勘のよい方ならもう分かったかもしれませんね。-лは男性の語尾で-лaは女性の語尾。
だからяの場合は「わたし」が男性だったら-л、女性だったら-лаというように使い分けるのです。
まさに男言葉と女言葉です。

男と女で違う過去。何やら演歌みたいですが、例えば次の文も男性が言うか、女性が言うかで答えが違ってきます.
Я рабoта[ ].  わたしは働いていました。
もう分かりますね。男性が言うのなら『Я рабoтал.』で、女性だったら『Я рабoтала.』です。

これで過去のしくみはだいたい説明しました。男女にこだわるのが特徴です。
では次の文の語尾には-л、-лаのどちらが入るでしょう。
Женя рабoта[ ].  ジェーニャは働いていました。
Саша рабoта[ ].  サーシャは働いていました。
Юра рабoта[ ].   ユーラは働いていました。

実はどちらでも正解。Женя、Сaша、Юраは男性にも女性にも使える名前です。
日本にも「カオル」「ヒロミ」といった両方に使える名前がありますね。
でもロシア語では過去の語尾を見れば男性か女性かがすぐに分かってしまうのです。